会社側のハラスメント対応を弁護士に依頼するメリットとは?対応の流れを解説!

会社側のハラスメント対応を弁護士に依頼するメリットとは?対応の流れを解説!

・契約社員が、上司のセクハラの被害を申告してきたが、上司は「合意の上だった」「セクハラではなかった」と言っている。どのように解決したらよいか?懲戒処分はできるのか?
・従業員がメンタルで休みがちになり、休職していたが、休職期間満了前に「上司のパワハラで病気になったので、これは労災である。」と言い出した。調査したが、パワハラの言動はなく、むしろ、その従業員が周りと協調できない問題社員であることが判明した。どのように対応したらよいか?

 

1 ハラスメントとは?弊害・企業にとって雇用管理上のリスク管理の問題について

 セクハラ・パワハラなどのハラスメント問題は、会社で起こってしまうと、従業員の就業環境を悪化させるとともに、会社が適切な対応をしないと従業員の会社への信頼がなくなって従業員全体のモチベーションやパフォーマンスの低下に繋がります。

 また、加害者となった従業員は、高額な民事損害賠償責任を負うとともに、事案によって刑事責任を負うリスクもあり、重い懲戒処分の対象となる、異動や降格の対象となる、退職せざるを得ないなど、起こしてしまったハラスメントにより、これまでのキャリアを一瞬にして失ってしまうことになりかねません。

 会社は、このようなリスクがあることを従業員に明確に伝える必要があります。

 社長名で、「ハラスメントは許しません!!」とのメッセージを発信したり、ハラスメントの具体例を記載したリーフレットや研修資料を配布し、ハラスメントのリスクが明確に伝わる研修を行うことが重要です。

 そして、ハラスメントの加害者とならないように役員、管理職、従業員へ周知啓発を行うとともに、正しい研修、指導を行っていく必要があります。

 ハラスメントが起こってしまうと、会社は、使用者責任により高額な損害賠償責任を負うリスクがあるだけでなく、マスメディアでの報道等やSNSでの拡散によって会社の社会的評価が失墜することがあります。使用者責任は、加害者を業務の執行につき使用していたことに対する会社の責任であって、加害者従業員と連帯責任であり、「業務の執行につき」は広く認められるので、ハラスメントが起こると、会社は使用者責任を免れないケースが多いです。

 よって、ハラスメント問題は、会社が、従業員個人の問題ではなく、経営上のリスクとなる会社の問題であることを理解して適切に対処することが肝要です。

 加えて、ハラスメントが起こってしまうと高額な損害賠償責任などのリスクがあるため、ハラスメントを起こさないように予防することがとても重要です。

 ハラスメントを発生させないために、「ハラスメントを許さない!」旨の会社の方針を明確にして発信し、ハラスメント防止研修などで従業員に周知・啓発を行い、絶対にハラスメントを起こさないようにすることが肝要です。

 管理職には、ハラスメントは従業員個人の問題ではなく雇用管理上の危機管理の問題であること、会社は、従業員の良好な職場環境を整える義務を負っていることを理解させ、ハラスメントを放置せず、適切な事後対応を行うことができるように指導することが必要です。

 そして、相談窓口を予め設置しておき、実際にハラスメントが起こったときには被害が拡大したり、紛争が深刻化しないよう、適切かつ迅速に対応すること、ヒアリングする窓口対応従業員の教育、マニュアルの作成、被害者への配慮などが重要となります。

 

2 セクハラ・パワハラの例

(1)セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは?

 セクハラには、性的な内容の発言をしたり、理由なく身体に接触したり、性的な事実関係を尋ねたり、個人的な性的体験談を話したり、性的な噂を広げたりといったものから、性的関係を強要するといったものがあります。

 加害者の抗弁としてよくあるのは、「合意があった」「相手が嫌がっていなかった」というものですが、上司・部下などの職務上の上下関係、優越関係がある場合、これらの言い訳は通用しないことが多いです。

 部下は、「断って、仕事上嫌がらせをされたり、冷たくされたりしたらどうしよう」「嫌われたら昇進・査定に影響するのではないか」「正社員になれないのではないか」などと考え、明確に断れないものだからです。

 この認識が欠け、知らない間にセクハラの加害者になってしまうことがあるので、上司、管理職にはハラスメント防止研修において、セクハラに当たる場合があること、「合意があった」「相手が嫌がっていなかった」「酔っぱらっていて覚えていない」といった言い訳は通用しないことを繰り返し注意・指導していくことが肝要です。

(2)パワーハラスメント(パワハラ)とは?

 パワハラは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えた、いわゆるいじめですが、皆の前で必要以上に叱る、怒鳴る、人格を否定する言動をする、「辞めろ」、「クビだ」と言う、メールで同僚も含めて一斉送信で叱るといったものから、無視や仕事の取り上げ、仲間はずれ、業務上無理なことの強制、プライベートなことを過度に尋ねるなどの行為があります。最近は、グループLINEやメールなどにより、業務上のやり取りがエスカレートしていくというようなケースもあります。ハラスメントの原因は、仕事上のストレスや過重労働、コミュニケーション不足にあることも多いので、大きな問題にならないように早めに対処し、問題の原因を取り除いていくことが重要となります。

 パワハラは、上司から部下に対するものだけでなく、同僚間、ときには部下から上司に対して行われることもあります。

 「どういった行為がパワハラに当たりますか」といった相談もよくあります。

 また、従業員がパワハラと言っているとのことで、当事務所のアドバイスに従い、人事部の方に事実関係をよく調査してもらうと、上司は業務上の指導をしているだけで、パワハラには該当しない場合もあります。むしろ、従業員が、協調して仕事をできない問題社員であり、紛争化させているだけといった場合もあります。

 従業員がセクハラ・パワハラを労災だと主張することもありますが、これらに該当していない場合もあります。

 事案が起こったときには、初期対応を誤らず、迅速に行うとともに、経営者や人事部・総務部は、客観的に事実関係を調査し、我々のような労働問題に精通した弁護士と連携し、今後の起こり得る展開を見極めながら、適切な対応をとることが重要となります。

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3 ハラスメント被害の申告があったときの対応とは?

 被害が埋もれて深刻化することを防ぐため、普段から、ハラスメントについて周知・啓発、研修を行うとともに、被害にあった人が我慢しないよう相談窓口、通報窓口を設置し、相談するよう周知・啓発する、無記名アンケートなどを利用する、上司に相談しやすい環境を作るなどが重要となります。公益通報などを想定した内部通報窓口に相談があることもあります。

 実際に、相談窓口にハラスメントの被害申告があったときは、総務部・人事部・管理部など第三者において対応し、傾聴する態度で相談に臨んでください。

 被害者からの聴取後に、加害者や目撃者などに話を聞く必要があるので、被害者からの聴取は、5W1Hで内容を特定し、その後、時系列に整理して、十分に準備してから、加害者、目撃者等の聴取を行うことが重要です。

 被害者が加害者に自分が被害申告していることを言わないでほしいというケースもあるので、二次被害にならないよう被害者の意向は尊重する必要があります。同様に、プライバシーの観点からも、加害者、目撃者等の聴取の際には気を付ける必要があります。

 こういった事情聴取は、弁護士等がついた交渉、裁判などに発展する可能性も見据えて行う必要があり、被害者と加害者の話が食い違うケースもあり、会社の人事部等の方のみでは、なかなか難しく、判断に困るケースに該当することも多々あります。なるべく早い段階から、当事務所のような労働問題に精通した弁護士と連携しながら進めることが、紛争の早期の的確な解決にとって有効です。

 当事務所では、事情聴取のやり方のご相談から、事情聴取過程で、連携していつでも相談できる体制を整えてご支援したり、ご要望によって事情聴取を行ったり、立ち会ったりといった対応も可能ですので、いつでもご相談いただければと思います。顧問契約でもよいですし、顧問契約でなくても、案件ごとのスポット対応のご提案も可能です。

 

4 ハラスメントへの対応の流れとは?

 調査の結果、ハラスメントの被害が認定できる場合、被害者の要望も検討した上で、加害者の謝罪・慰謝料の支払いの示談をまとめたり、人事異動、再発防止措置の検討をしたり、加害者の懲戒処分を検討する必要があります。

 いずれも、裁判例などに基づき、専門的な判断、対応が必要となってくる場合が多いので、当事務所のような労働問題に精通した弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。

 特に懲戒処分は、裁判例の求める要件を踏まえた対応をしていかないと、無効とされるリスクを伴いますので、労働問題に精通した弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。

 また、ハラスメント被害が認定できない場合も、会社は、被害者の職場環境を調整したかどうか債務不履行責任を問われますので、被害者に調査結果を真摯に説明して理解を得るよう努め、最低限被害者と加害者を離す措置を取るなど、会社として、そのときの事実関係において、中立的で合理的な対応を取ること、また、被害者に最大限配慮した措置を取ることが重要です。

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5 ハラスメントに関する当事務所の対応事例

 当事務所の解決事例としては、従業員がパワハラを訴えて弁護士をつけて請求してきたが、当事務所が受任して調査したところ、指導を超えたパワハラはなく、むしろ当該従業員が周りと協調できず、問題があることが判明したので、証拠とともに相手方に示し、見舞金程度を支払う示談で解決した事例があります。

 当事務所では、交渉や裁判等の案件の代理人となるだけでなく、ハラスメント問題が発覚したときは、被害者・加害者に代理人が着く前の早い段階から相談を受け、人事部等と常に連携し、助言しながら、被害者との示談、加害者への適切な懲戒処分、異動といった措置をとり、紛争を解決する事例も多くあります。

 

6 ハラスメント問題でロア・ユナイテッド法律事務所がサポートできること

 当事務所では、労働問題に精通した弁護士が多数在籍しておりますので、ハラスメント問題の交渉、あっせん、調停、裁判、労災申請への対応、労働組合との団体交渉などを受任できます。

 

 また、多数のハラスメント問題解決の実績を活かして、ハラスメントが起きないように予防するため、及び、初期対応の誤り等による二次被害を防ぎ、会社の職場環境調整義務違反を防ぐため、事前対応として、周知・啓発、社内ハラスメント防止研修、相談窓口設置、窓口対応従業員の研修や指導、マニュアル作成などのご依頼を受け、行うことが可能です。

 実際に被害申告があったときには、相談窓口担当の人事部などの従業員と常に連携して相談に乗りながら進め、事案の早期解決を目指します。事案によって、弁護士が事情聴取を行ったり、立ち会ったりといった対応も可能です。顧問契約でもよいですし、顧問契約でなくても、案件ごとのスポット対応のご提案も可能です。

 加害者の懲戒処分についても、対応を誤ると無効となるリスクが潜んでいるので、事前に相談を受け、裁判例や当事務所実績に基づいてアドバイスし、随時相談に乗りながら進めます。

 当事務所では、交渉や裁判等の案件の代理人となるだけでなく、人事部等と常に連携し、助言しながら、被害者との示談や、加害者への適切な懲戒処分、異動といった措置に至り、紛争を解決する事例も多くあります。

 顧問契約や、スポット案件サポートパックなどによる随時の連携、助言や、代理人としての紛争解決、ハラスメント防止のための研修や窓口対応従業員の研修など、多方面からサポートが可能ですので、ハラスメント問題に不安がある企業は、当事務所にご相談ください。

Last Updated on 2024年3月19日 by loi_wp_admin


この記事の執筆者:弁護士法人ロア・ユナイテッド法律事務所
当事務所では、「依頼者志向の理念」の下に、所員が一体となって「最良の法律サービス」をより早く、より経済的に、かつどこよりも感じ良く親切に提供することを目標に日々行動しております。「基本的人権(Liberty)の擁護、社会正義の実現という弁護士の基本的責務を忘れず、これを含む弁護士としての依頼者の正当な利益の迅速・適正かつ親切な実現という職責を遂行し(Operation)、その前提としての知性と新たな情報(Intelligence)を求める不断の努力を怠らず、LOIの基本理念である依頼者志向を追求する」 以上の理念の下、それを組織として、ご提供する事を肝に命じて、皆様の法律業務パートナーとして努めて行きたいと考えております。現在法曹界にも大きな変化が起こっておりますが、変化に負けない体制を作り、皆様のお役に立っていきたいと念じております。