従業員がパワハラを主張して弁護士をつけて会社に損害賠償請求をした事案で、請求金額を大幅に減額して示談により解決した事例

* 当事務所でよくあるご相談や取り扱い事例です。一部内容はアレンジしております。

【企業概要】

製造業

従業員規模 500名程度

【事案の概要】

従業員が、弁護士を代理人に立てて、上司からパワハラを受けたと主張して200万円の損害賠償請求をした事案でした。

【当事務所の対応】

当事務所は会社の代理人となり、調査を開始したところ、当時、会社は、本人からの要請を受け、事実を調査して回答し、上司を人事異動により本人と離しており、その後、特に本人から要請は何もありませんでしたので、その点を相手方代理人に主張し、会社の対応は妥当であって職場環境調整義務違反はないことを主張いたしました。

パワハラについては、指導の域を出ないと主張し、最終的には、治療期間等を考慮した実損害額に近い金額を主張し、請求金額の75%を減額した50万円で示談して解決することができました。

【ハラスメント事案の解決のポイント】

会社は、ハラスメントの加害者の従業員の不法行為責任について、使用者責任(民法715条)という連帯責任を負っていますので、会社の従業員が加害者となるハラスメントが起きてしまうと、会社も使用者責任を免れないことが多いです。

そのため、セクハラ・パワハラなどのハラスメントは、発生しないようにすることが最も大切であり、会社において、役員、管理職、従業員へ周知啓発を行うとともに、ハラスメントを起こさないよう、研修、指導等を行っていくことが重要となります。

これらハラスメントの防止義務は、均等法やパワハラ防止法等、法律によって会社に求められる義務でもあり、裁判等になったときに、これらの義務を尽くしていたことを主張・立証することが、会社の安全配慮義務違反がないことを示すことになります。

また、実際にハラスメントの事案が起こり、会社が関知することとなったときは、ハラスメント被害を止め、被害の拡大を防ぐ措置を行う等、迅速に、合理的な対応をすることが求められます。

そのため、ハラスメントを察知したときは、迅速に事情聴取やハラスメントの有無の調査に入り、ハラスメントの事実が確認できた場合は、被害者の要望を確認し、加害者の謝罪や慰謝料支払いによる示談を検討したり、被害者と加害者を離すための人事異動、再発防止措置、加害者の懲戒処分など、調査によって判明した事実内容に応じて、会社として取り得る合理的な措置を取ることが重要となります。

ハラスメントの事実確認ができなかった場合でも、事態の深刻化を防ぐために、人事異動等被害者と加害者を離す措置などは検討する、被害者には、調査結果について、真摯に説明して理解を得るよう努め、出来得る限りの配慮をする等、会社として取り得る合理的な措置を取ることが必要となります。

こういったハラスメント察知後の会社の合理的な対応については、裁判等になった際に弁護士によって十分説明ができれば、会社としては必要な措置を尽くしたと主張でき、会社の安全配慮義務違反はなかったと主張することができます。

ハラスメントの当事者や第三者の事情聴取は、弁護士等がついた交渉、裁判などに発展する可能性も見据えて行う必要があり、被害者と加害者の話が食い違うケースもあり、会社の人事部等の方のみでは、なかなか難しく、判断に困るケースに該当することも多々あります。

そのため、ハラスメント事案を察知した場合は、なるべく早い段階から、当事務所のような労働問題に精通した弁護士に対応を相談し、連携しながら進めることが、紛争の早期の的確な解決にとって有効です。 当事務所では、ハラスメント防止研修や相談窓口担当者や管理職の研修など、ハラスメント防止の措置についても取り扱っていますので、ハラスメントに関するご相談は当事務所にご相談ください。

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Last Updated on 2023年12月14日 by loi_wp_admin


この記事の執筆者:弁護士法人ロア・ユナイテッド法律事務所
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