製造業のノウハウ流出を防ぐ、競業避止義務について企業法務に詳しい弁護士が解説

製造業のノウハウ流出を防ぐ、競業避止義務について企業法務に詳しい弁護士が解説

文責:難波 知子

 本記事では、製造業において、ノウハウ流出を防ぐために、従業員に競業避止義務を負わるにはどのような対策をしたらよいのか解説します。

 労働者には憲法上の権利である職業選択の自由がありますので、無制限に競業避止義務を課すことはできません。特に労働者の退職後は、使用者は当該労働者との間で、退職後の競業避止義務を定めた合意が必要で、その内容も、期間、地域、対象職種につき限定し、代償措置も定めた必要かつ合理的な範囲のものである必要があります。入社時の誓約書、就業規則においても定め、さらに退職時にも、明確に競業避止義務を負わせることが重要です。

1-1.製造業における競業避止義務の重要性と法的性質

 製造業において、労働者に競業避止義務を課すことは、退職後の技術流出を防ぎ、企業の営業秘密、独自ノウハウ、その他の正当な利益を保護する手段として非常に重要です。ただし、競業避止義務は労働者の憲法上の権利である職業選択の自由を制約するため、無制限に課すことは認められません。

 退職後に競業避止義務を課すことができる場合については、労働者の憲法上の権利である経済的自由のうち、職業選択の自由(憲法22条1項)と企業の保護すべき利益との関係から、対象者、期間、地域、禁止する業務・職種の範囲を必要かつ合理的な限度に限定し、代償措置の有無等も踏まえてその有効性が判断されます。

1-2. 独自の製造技術やノウハウ、顧客情報など、製造業特有の保護すべき利益の性質

 競業避止義務とは、従業員が退職後、元の会社と競合する事業を立ち上げ、同様の業務を行ったり、競合他社に就職したりすることを禁止する義務のことです。この義務は、企業が自社の持つ独自の技術や顧客情報、営業秘密といった知的財産を守るために設定されます。

 特に、製造業では、製品の開発技術や生産ノウハウ、仕入れルート、顧客リスト、取引先との強固な信頼関係などが企業の競争力のもととなるため、競業避止義務を課す必要性が高いといえます。例えば、特定の素材を加工する独自の技術や、効率的な生産ラインを構築するためのシステム、あるいは特定の特殊な技術を有する取引先や顧客との長年にわたる取引関係や信頼関係、協力関係など、これらは全て製造業を営む企業の貴重な財産となります。

 仮に、労働者がこれらの情報を持ち、競合他社に転職したり、独立して会社を立ち上げたりした場合、会社は技術流出や顧客流出といった大きな損害を被る可能性があり、最悪倒産の危機に陥ることさえもあります。

 競業避止義務は、こうしたリスクから企業を守り、正当な競争環境を維持するために存在します。特に、研究開発部門の技術者や、機密情報に触れる機会の多い営業担当者、生産のノウハウを知る製造管理職や責任者、また、経営の幹部社員など、企業の核心的な情報にアクセスできる業務を担っていた労働者に対して設定することが必要になります。

 これらの者が退社するときに、どのようにすれば、製造業にとって不可欠なノウハウ、顧客、取引先を失わないで済むのか、以下検討していきます。

1-3. 在職中の義務と退職後の義務の法的な違い

(1)在職中の競業避止義務

 労働契約においては、使用者・労働者双方が相手方の利益に配慮し、誠実に行動することが求められます。在職中の労働者は、労働契約法3条4項に基づく信義則上の誠実義務、忠実義務の一内容として、使用者の正当な利益を不当に侵害する競業行為を差し控える競業避止義務を負うのです。この義務は、就業規則、労働契約書、誓約書等に特段の定めがなくても、労働契約の付随義務として認められます。ただし、就業規則等に具体的な禁止行為や範囲を定めることは、労使間の認識の齟齬を防ぎ、労働者への注意喚起を行う点で有益ですので、就業規則等にも定めておくべきです。

 具体的には、在職中に使用者と競合する事業を営むこと、使用者の顧客に営業して報酬を得ること、既存顧客を引き抜くこと、競業他社の利益を図ることなどが、競業避止義務違反となりえます。勤務時間中に自己又は第三者のために営業活動を行うことは、競業性の有無にかかわらず労務提供義務の不履行となり得るほか、競業行為によって損害が生じた場合には、損害賠償責任が認められる可能性があります。

 また、就業規則に懲戒事由として定められている場合には、競業避止義務違反を理由とする懲戒処分が可能とされています。

(2) 退職後の競業避止義務が「有効」と認められるための判断基準

 退職後の競業避止義務は、労働者の憲法上の権利である職業選択の自由や営業の自由を制約するため、就業規則や個別合意が存在しても、直ちに有効とはなりません。企業に守るべき正当な利益があることを前提に、従業員の地位・職務内容、地域、期間、禁止対象となる業務・行為の範囲、代償措置などを総合考慮し、必要かつ合理的な範囲にとどまるかによってその有効性が判断されることになります。合理性を欠く場合は、その全部または一部が無効となります。

 判例が判断する際に考慮している要素は「就業規則や覚書等の合意の存在」、営業秘密、これに準じる価値のあるノウハウ、独自の営業方法・指導方法、構築された顧客との人的関係など「企業の正当な利益」保護の必要性、形式的な役職ではなく、保護すべき利益に接し、競業避止義務を課す必要性がある立場か否かという「従業員の地位・職務内容」、地域、存続期間、禁止される職種・業務・行為が目的に照らして必要な範囲に限定されているか否かという「制限の範囲」、競業避止義務の対価としての手当、退職後の補償、退職金等があるかという「代償措置の有無」などです。

2-1. 退職後の競業避止義務

(1)「合理的な範囲内」に収まっているかの評価

 退職者に競業避止義務を課することの有効性は、上記のとおり、就業規則等の規定の有無、企業の利益(企業秘密の保護)、退職者の不利益(転職、再就職の不利益)および社会的利害(独占集中のおそれ、それに伴う一般消費者の利害)の3つの視点に立って慎重に検討していくことを要するものとされ、「合理的範囲内」の競業制限でなければならないとされています。そして、「合理的範囲内」の具体的基準は、一般に、①競業禁止条項制定の目的、②労働者の従前の地位、③競業禁止の期間、④地域、⑤職種、⑥代償措置等と考えられています。

 ①は、製造業の特殊なノウハウ流出の防止である場合でも、③の「ある程度の期間」は必要と考えられています。裁判例では1~5年程度が必要とされる事例が多いですが、その期間は、当該労働者の保有する競業する力や、その土台となる業種、競合企業との競業状況の程度等によって個別具体的に判案されることになります。そして、長期間であればあるほどより高度の他の要素の充足が求められることになります。

 ④地域の合理性については、国内全体や世界中といった広範囲な制限は認められにくく、元の会社の事業範囲や影響が及ぶ地域に限定される必要があります。

 ⑤職種は、製造業は含まれますが、その中でも全ての業務ということにはならず、ノウハウや秘密が流出したら損害を被るような職種や②地位である必要があります。単に同業他社への転職を全面的に禁止するのではなく、元の会社で得た知識や技術が活かされる特定の職種に限定されるべきです。業種そのものよりも、営業秘密・独自ノウハウ・顧客との人的関係など、使用者の正当な利益が存在し、その保護のために競業を制限する必要性があることが必要です。

 例えば、形式的に執行役員という高い地位にある者を対象とした競業避止義務であっても、企業が守るべき機密性のある情報に接していなければ否定的な判断が行われることがあります(東京地判平成24年1月13日労判1041-82)。

 各制限に対して、退職者への⑥代償措置が講じられているかどうかも重要な判断材料となります。例えば、義務期間中の給与の一部を支払うことや、退職金を増額することなどがこれに該当します。これらの要件を満たさない場合、その競業避止義務は無効と判断される可能性が高まります。

(2)裁判例の内容

 たとえば、教材開示等差止仮処分申立事件(東京地決平成18.5.24判タ1229-256)では、上記具体的基準に則って、[1]競業禁止条項制定の目的は会社の教材等の内容やノウハウを保持し、他の競業業者の手に渡らないようにすることにあり、正当な目的であると評価できること、[2]当該労働者は会社入社前には当該業務(教育業務及びコンサルティング業務)に従事した経験がなく、また、当該業務のノウハウを持っておらず、退職後2年間会社において身につけた当該業務を行ったことを制限することには合理的理由があり、労働者の職業選択の自由を不当に制限する結果になっているとまではいい難いこと、[3]競業禁止期間は退職後2年間であり、同業他社も同様の規定を設けており、期間が長期間で労働者に酷にすぎるとまではいい難いこと、営業・勧誘活動を行ってはならない対象となる顧客は、既に取引関係が形成されている会社を指し、そうだとすると、対象範囲が余りに広すぎるとはいえないこと、[4]労働者が会社から支給された報酬の一部には退職後の競業禁止に対する代償も含められているといえること等を総合的に考慮し、競業禁止の合意を有効であると判断し、競業行為禁止の仮の差止めが認められています。

(3)業種により異なるのか。製造業の場合はどうか。

 同じ業種であっても、競業避止義務が当然に有効となるわけではありません。特に、次の事情が重視されます。使用者に保護すべき営業秘密、独自ノウハウその他の正当な利益があること、労働者がその利益を保護する必要のある地位・職務にあったこと、競業禁止の期間、地域、対象職種・業務が必要最小限に限定されていることなどが必要です。

 そして、製造業に関する裁判例を見ても同様で、保護すべき企業利益はどのようなものか、独自の技術、営業秘密、営業秘密に準じるノウハウ等があるか、労働者の地位・業務内容はどのようなものか、形式的な役職ではなく、具体的な業務上、保護すべき情報に接する立場であったか、禁止範囲は、対象となる業務・職種、期間、地域が必要最小限度に限定されているか、代償措置は、競業制限による不利益を補う手当、補償その他の措置があるかという観点から判断されています。

2-2. 製造業における実際の裁判例から見る有効・無効の境界線

 上記のとおり、「製造業」だからといって競業避止義務を課すことが認められ易くなるわけではありません。製造業の中でも、ノウハウや秘密が流出したら損害を被る業種、それを把握している人による競業が問題となります。

 製造業では、単に同業他社への転職や同種製造業務への従事を禁止するだけでは足りず、保護すべき技術・秘密等との関係で、対象者、業務、期間及び地域を具体的かつ必要最小限度に定め、代償措置の有無も含めて合理性が判断されます。モリクロ(競業避止義務・仮処分)事件(大阪地決平成21年10月23日労判1000-50)では、めっき加工の独自技術を扱い、期間を1年に限定した事例では差止めが認められました。

 他方、関東工業事件(東京地判平成24年3月13日 労経速2144-23)では、廃プラスチックのリサイクル業を営む会社が、元従業員らの同種事業への従事について、秘密保持義務・競業避止義務違反を主張しましたが、元従業員らが業務上の秘密を使用する立場になく、競業を禁止すべき前提条件を欠いていたこと、会社が代償措置を講じていなかったことから、就業規則上の競業避止条項・個別特約を民法90条により無効とし、競業避止義務違反の主張が認められませんでした。

 また、ビットウェア事件/ビットウェア元従業員ら事件(東京地判令和6年9月24日 労判1345-56)では、コンピューターハードウェア・ソフトウェアの開発・製造・販売等を目的とする会社の就業規則について、退職後2年間、在職中の地位や役職等に関係なく、職種・態様を問わず競業企業への直接・間接の関与を包括的に禁止し、地域の限定も代償措置もありませんでした。この事件では、禁止される業務の範囲が広範で、地域的限定がなく、代償措置もないことから、退職後2年間の部分を職業選択の自由を不当に害するものとして無効とされました。ただし、退職前の行為については、労働契約上の誠実義務・職務専念義務違反による不法行為上の違法性が認められ、一部請求が認められました。

3-1. 入社時および退職時に締結する誓約書・合意書のポイント~対象となる技術や業務を具体的に特定した条項の作成~

 雇用契約書または誓約書に、①退職後の競業避止義務を明示します。将来、対象者や職務に応じて内容を調整する必要がある場合には、就業規則に原則を定めたうえで、個別合意することになりますので、就業規則等の定めより、個別合意を優先する旨も規定しておきます。

 そして、②保護する企業の利益を定めます。 営業秘密、ノウハウ、技術情報、顧客関係など、競業避止義務によって保護する具体的な利益を明確にします。複数人に適用される規定では、その利益に関係する業務を担当し、秘密情報等に接する特定の従業員を対象とすることが重要とされています。

  次に、③禁止する競業行為の範囲を定めます。競合他社への就職、競合事業の経営、特定の業務の受注・請負、特定顧客への勧誘・営業など、禁止対象を業務内容・職種等により具体的かつ限定的に定めます。競合他社への転職を一般的・抽象的に禁止する内容は、有効性が認められない可能性が高いです。

 さらに、④期間 退職後の義務の開始時点と終了時点を明示します。1年以内の短期間は有効性が認められる可能性が高くなります。1~3年程度が有効性が認められる可能性がある期間です。期間の合理性は、企業の利益と労働者の不利益等を踏まえて個別具体的に判断されます。

  ⑤地域の限定も必要です。事業内容や営業地域に応じ、必要な地域に限定します。地域制限を設けない場合や、広汎な地域を一律に対象とする場合は、職業選択の自由への制約が大きくなり得ます。

 ⑥代償措置の定めも必要です。憲法上の権利である労働者の経済的自由、職業選択の自由への制限である競業避止義務の対価として、在職中の特別手当、高額な賃金、退職後の補償金、割増退職金等の有無・内容を明記します。代償措置がないことは、合意の有効性を否定する方向の事情となり得ます。重要な権利である経済的自由である競業を制限するだけの相当な対価を支払う必要があります。

3-2. 退職予定者との面談時における、義務内容の確認と合意書取得の実務的プロセス

 退職予定者との面談では、競業避止義務を一律に確認するのではなく、まず対象者が在職中に接した秘密情報・ノウハウ、担当業務、地位等を確認し、その者に競業避止義務を課す必要性、保護しようとする会社の利益、対象となる業務・職種を説明します。

 そのうえで、禁止期間、地域、対象業務・職種、禁止行為、許諾の要否、代償措置等を具体的に説明し、内容について労使双方の十分な理解を得たうえで、個別の誓約書・合意書を取得することになります。さらに、在職中にアクセスした秘密情報を確認し、秘密保持義務の対象を特定することも必要です。

 一般的・抽象的な禁止や、広範な地理的制限、長期間の制限は有効性が認められ難くなります。

 代償措置については、その内容を説明し、既に支払っているのであればその旨と金額、補償手当等をこれから支払うのであれば、目的、金額、支払期限、支払方法等を合意書に記載します。

 退職時に突然契約を提示すると退職者に抵抗される可能性があるため、入社時から退職時には秘密保持契約を締結する場合があることを時間をかけて周知しておくと、手続を進め易くなります。

 退職時は、退職予定者には同意のインセンティブがないことが多く、締結・提出を拒否された場合には、競業避止義務を負わせることは難しくなります。

 当事務所には、「締結を会社から求められているが締結する義務があるのか?」という労働者側からの質問も多くあります。労働者は締結する義務はないので、労働者から拒否された場合には、会社側としては、制限の範囲を狭めたり、代償措置の金額を上げて、粘り強く交渉していく必要があります。

 就業規則や入社時・在職中の個別合意による根拠のみで、責任を負わすことが必ずしもできるわけではありません。

4. 退職後の競業行為が発覚した際のリスク

 退職労働者の競業行為により、生産体制の崩壊と競争力の低下が起こります。また、取引先の奪取による売り上げ減少、契約解約、取引先喪失なども起こります。
 競業を一律に禁止することはできませんので、守るべき利益を特定し、秘密保持、顧客・従業員の勧誘禁止、契約上の取引関係の整理、必要な範囲での競業制限を組み合わせる方法や代償措置の金額を上げる方法で、できる限り誓約してもらえるように対応します。特に、取引先との関係を守る場合は、競業行為そのものではなく、営業秘密の利用、顧客への積極的な勧誘、従業員の引抜きなど、具体的な行為を対象にすることが重要です。
 その他、競業避止義務を負わせるという観点も需要ですが、一人の従業員の権限を集中させない、取引先との関係を会社として強くする、従業員が退職しないように労働環境、労働条件を整備する等、別の観点からの経営、営業努力も必要となってきます。

5.-1 競業避止義務違反に対する企業の法的アクション

(1) 競業行為の差し止め請求、損害賠償請求

 競業避止義務を負う元従業員が競業行為を行い、会社に損害が発生する場合、競業行為の差し止め請求や債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償請求ができる可能性があります。

(2)紛争となった場合の立証責任

 仮に、紛争となった場合、義務違反の立証また、当該義務違反により、発生した損害についての立証は会社側がしなければなりません。

 競業避止義務に基づく差止めの主要な要件は、①競業避止義務を定める合意等が有効であること、②禁止対象に該当する競業行為があること、③その行為により使用者の営業上の利益が現に侵害され、又は侵害される具体的なおそれがあることです。仮処分では、これらに加えて保全の必要性が必要となり、差止めの範囲は合理的に認められる競業行為に限定されます。

 失った取引先から得られるべきだった利益、競業行為が原因で失った売上、支払った違約金その他会社に発生した損害について当該労働者に損害賠償請求できます。

5-2. 就業規則に基づく退職金の不支給・返還請求

 競業避止義務違反の行為があった場合に、在職中であれば退職時の退職金の減額や不支給の措置をする、退職後であればすでに支給した退職金の全部又は一部を返還させる、という制裁を加えることも対応としては考えられます。

 退職金については、その法的性質として、賃金の後払い的性格、功労報償的性格、生活保障的性格があることから、この退職金の功労報償的性格を重視すれば、競業避止義務違反行為という、事業所に対する背信的な行為に対して、退職金の減額、不支給の措置をとることは何ら問題がないようにも思えます。しかし、退職金の賃金の後払い的性格、生活保障的性格を必ずしも無視することはできず、退職金の減額には一定の制約があります。

  例えば、退職金支給規程に、退職後6ヶ月以内に同業他社に就職した場合には退職金を支給しない旨の不支給条項をおいていた会社において、実際に退職金を不支給としたことが問題となったケースでは、退職金を不支給とできるのは、退職後6ヶ月以内に同業他社に就職しただけでは足りず、労働の対償を失わせるような顕著な背信性がある場合に限定されるとした上で、同ケースでは、顕著な違法性はないものと判断され、退職金の不支給は違法であると判断されています(中部日本広告社事件名古屋高判平成2年8月31日労判569-37)。

 同判決によると、この背信性の判断には、会社にとっての「本件不支給条項の必要性、退職従業員の退職に至る経緯、退職の目的、退職従業員が競業関係に立つ業務に従事したことによって第一審被告(会社)が被った損害などの諸般の事情を総合的に考慮」するとされており、退職金の法的性質である賃金の後払い的性格、功労報償的性格、生活保障的性格のいずれも失わせるほどの背信性を求めています。

 したがって、競業行為を行ったからといって、退職金の減額をすることは容易ではなく、仮に、退職金の減額ができるとしても、その全部とすることは極めて困難なことが多いです。

 このように、退職金を減額できるとしても、その一部となる可能性が高いといえますが、いずれにしても就業規則等に競業避止義務に違反したには退職金が全部または一部減額される可能性がある旨明確に定めておくことが必要です。

6. 製造業における競業避止について弁護士に相談するメリット

 競業避止義務は、労働者の職業選択を制限するものであるため、その有効性を肯定することは容易ではありません。労働者には、職業選択という憲法上の権利が最大限保証されるべきという考え方が根底にある以上、それを制限するには、予めの綿密な準備が必要です。

 当事務所では、裁判例や経験に基づき、どのように予め対応すれば、従業員による競業避止義務違反を防止できるのか、競業避止義務違反が発覚した場合、どのような責任追及ができるのか、豊富な経験に基づき具体的にアドバイスさせていただきます。

7. 当事務所のサポート内容

 当事務所は製造業を含む競業避止義務を課すことまた、違反した場合の対処についてのご相談や代理を訴訟代理も含め多数経験しております。訴訟では、多額の解決金を労働者から支払わせて和解した事例も多数ございます。

 豊富な経験に基づく具体的なアドバイスをさせていただきます。

 是非ご相談ください。

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Last Updated on 2026年9月28日 by loi_wp_admin


この記事の執筆者:弁護士法人ロア・ユナイテッド法律事務所
当事務所では、「依頼者志向の理念」の下に、所員が一体となって「最良の法律サービス」をより早く、より経済的に、かつどこよりも感じ良く親切に提供することを目標に日々行動しております。「基本的人権(Liberty)の擁護、社会正義の実現という弁護士の基本的責務を忘れず、これを含む弁護士としての依頼者の正当な利益の迅速・適正かつ親切な実現という職責を遂行し(Operation)、その前提としての知性と新たな情報(Intelligence)を求める不断の努力を怠らず、LOIの基本理念である依頼者志向を追求する」 以上の理念の下、それを組織として、ご提供する事を肝に命じて、皆様の法律業務パートナーとして努めて行きたいと考えております。現在法曹界にも大きな変化が起こっておりますが、変化に負けない体制を作り、皆様のお役に立っていきたいと念じております。