文責:石居 茜
1 労災隠しとは
労災隠しとは、労働安全衛生法により労働基準監督署に対する労働者死傷病報告が義務付けられている労災が起きた際に、労働者死傷病報告を提出しない、又は虚偽の内容を報告することをいいます。
労災隠し(労働安全衛生法100条1項違反)には刑事罰があり、50万円以下の罰金とされています。
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2 事業主が労働者死傷病報告を義務付けられている場合
事業主は、労働者が労働災害その他就業中、又は事業場内もしくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、労働者死傷病報告を提出しなければなりません(労働安全衛生規則第97条1項)。
労働者が労働災害により死亡、または4日以上の休業をした際は、遅滞なく、労働者死傷病報告書を労働基準監督署長に提出する必要があります。
労働者が、労働災害により休業し、その休業が4日未満だった場合は、各四半期発生分について、それぞれの期間の最後の月の翌月末までに、報告書を所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。
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3 労働者死傷病報告しないとどうなるか
労働者死傷病報告を提出しない場合、あるいは虚偽の報告をした場合、労働基準監督署により刑事事件として書類送検(検察官への送致)をされるケースがあります。検察官が事件を起訴するか、不起訴にするかを決定しますが、起訴されると略式命令により、50万円以下の罰金刑が科されることが多いです。
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4 労災隠しが発覚する経緯
労災隠しは、治療費や休業補償などに不満を持った労働者本人が労働基準監督署に通報したり、労働者が受診している病院から労働基準監督署に通報があって発覚します。
事業主が労災隠しをする理由としては、労働保険料が上がる、労災事故に対する民事・刑事の責任追及を恐れる、労災保険未加入の発覚を恐れる、建設業で元請けに迷惑がかかることを嫌うなどがありますが、労災隠しは、刑事罰もある犯罪であり、どんな理由であっても、労働者死傷病報告をしないこと、または虚偽の報告をすることは違法であって許されません。
事業主は、現場の担当者も含めて、従業員に対し、休業を要する労災は労基署への労働者死傷病報告の提出義務があることを周知し、必ず報告する体制を整備するとともに、労災隠しは懲戒処分の対象になることも、就業規則等で明記して周知・啓発することが大切です。
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5 当事務所でサポートできること
当事務所では、労働問題に精通した弁護士が多数在籍しており、労働災害や労災隠しなどの労働安全衛生法違反事案が起きたときに、事実関係の調査、労働基準監督署対応、刑事処分への対応、再発防止措置等の留意点についてアドバイスし、これらの措置を講ずる手伝いをしたり、代理人となって活動することができます。
死亡や重度の後遺障害など、重大な労災事案が発生した場合等、本人や遺族からの損害賠償請求にも対応する必要がありますが、これらも代理人となって対応し、適正な解決に導きます。
また、過重労働、過労死やメンタルヘルス、ストレスチェックなどの対応、従業員の休職・復職をめぐる問題等についても、ご相談に乗り、措置を講ずることも可能です。
当事務所にご相談の上、早期に適切に対応することをお勧めいたします。
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Last Updated on 2024年11月11日 by loi_wp_admin